検索
  • 愛海

石榴。









ある日のこと。




ザクロの木を意味もなく毎日観察していた。


ザクロは秋に実がなる。




ただ、観賞用なのでそんなに実がなるものでもない木。


花も特徴的で、悪魔の実と言われるのも分かる。




そんなザクロが昔から好きだ。




百日紅も終わり、ザクロの季節に差し掛かる頃、台風が多くやって来たのは今年の秋。


前代未聞の台風が、日本を多く直撃した。




そんな時、ザクロは3つ実をつけた。




台風が来ると、実が落ちたり。




何とか持ちこたえたものもある。




大体は、熟し台風が来たら実が落ちる。


当たり前のこと。




しかし、落ちないザクロがあった。


ただ1つだけ。




そのザクロは幾度かの台風、強風を耐え抜いた。






「 まだ落ちないのか。いつ落ちのだろう? 」






そう思い始めて、気付いたら観察を始めていた。




気付けは、葉も落ち樹木も冬支度をしているのに、まだザクロが1つ木についている。


とっくに腐っているだろうに、まだ木にぶら下がり続けるザクロの実。




何だか人間みたいだな・・・。


とちょっと皮肉に思ったり。




同時に、意地でも落ちないと言うプライドも感じたり。




どっちが幸せだったのだろう?




そんな風にザクロの実の生きざまを考えた。




自分だったらどちらになるのか?




さっさと落ちれば、誰かに拾われたかもしれない。


それか、野鳥に食べられたかもしれない。




けれど、そのザクロは樹木が冬の眠りにつくまで一緒にいたのだ。




最後は萎んで土の上に落ちてしまったが。




木から生まれ、木の上で朽ち果てる。




そんな果実も良いのではないか?


そう思った時に、何だか自分と重ね合わせていた。




「 ああ、私はこの実に似てるんだ 」




そう思うと又愛着がわく。




ザクロはまだ土の上にある。




今度は土に還るまで、見届けよう。


もう冬が来るのだから。












3回の閲覧
  • Twitter
  • Instagram